TS06 モビリティシステムへの数理的アプローチ
オーガナイザ
- 櫻間 一徳 (京都大学)
- 林 直樹 (大阪大学)
概要
近年の情報社会における人やモノの移動の革新を目指して,様々な分野で研究がされています.本テーマセッションでは,このようなモビリティシステムの制御・通信・最適化工学などによる数理的なアプローチについて議論します.例えば,交通システム(信号制御・シェアリングシステム・自動運転など),物流システム(自動搬送・配達・サプライチェーンなど),ロボティクス(群ロボット・モバイルセンサなど)に対する応用研究から,このような応用につながる基礎研究(協調制御・分散最適化など)まで,幅広く募集します.
キーワード
- モビリティシステム
- 交通システム
- 物流システム
- 車両制御
- ロボット制御
- 群ロボット
- モバイルセンサ
- 分散制御
- 分散最適化
TS06 招待講演
交通流現象の観測・モデリングと制御
講師
塩見 康博氏 (立命館大学)
概要
日本国内の交通渋滞による損失時間は年間61億人時間にのぼり、高速道路に限定しても1.9億人時間、貨幣換算で約6000億円の経済損失が生じている。さらに、交通渋滞は事故リスク・温室効果ガス排出量を増大させる。そのため、持続可能な社会を実現するためには、交通流特性の把握に基づく、最適な制御を展開することが必要となる。交通渋滞の発生は、ボトルネックに対して交通容量を上回る交通需要が流入することによって発生すると単純化されるが、交通流の観測技術の高度化とともに、転移現象(traffic breakdown)、交通容量低下(capacity drop)、停止・発進波(oscillation)、ヒステリシスなどの動的特性が明らかとなってきた。本講演では、交通流の観測技術の発展の経緯とそれに基づく交通現象を整理するとともに、マクロ・ミクロの両観点による交通流のモデル化の発展経緯を解説する。その際、実務で導入されている交通流の制御手法について、理論的な解釈を行う。また、近年取り組んでいるデータ駆動型のモデリングや強化学習による制御手法についても紹介する。